2007年12月19日水曜日

保険窓販、みずほ信託・中央三井信託は年明け以降に開始

今月22日に全面解禁される銀行窓口での保険販売で、大手信託銀行の当初の対応が分かれる。みずほ信託銀行、中央三井信託銀行の2行は販売や法令順守態勢を確実にするため、医療保険など解禁される新分野の取り扱い開始時期を年明け以降とする。一方、三菱UFJ信託銀行と住友信託銀行の2行は解禁当初から医療保険の販売を開始し、手数料収入の拡大につなげる。

 三菱東京UFJ銀行などのメガバンクは保険窓販の全面解禁に伴い、解禁当初から新たに扱える医療保険や死亡保障型保険などの販売を開始する方針。このため、保険販売のノウハウにたける生保会社からの出向者を受け入れるなど、販売態勢の確立を急いでいる。

 医療保険といった保障性商品は、銀行がこれまで扱ってきた年金保険などの貯蓄性保険に比べると商品性が複雑。顧客に過去の病歴の告知義務を契約前に説明する必要があるなど、これまで以上に契約者保護の姿勢が求められる。とくに、保険金の不払い問題が浮き彫りになる中、法令順守態勢の強化が急務になっている。

 みずほ信託と中央三井信託は、解禁当初の12月の販売開始を見送り、来年1月以降の取り扱いを検討する。販売開始時期を遅らせることで、窓口で販売にあたる職員の専門性を向上させるほか、法令順守態勢の確立を優先させる。新たに扱う保険商品の種類についても慎重に決める考えだ。

 一方、法人向けの貸し出し業務が伸び悩む中、大手銀行にとって保険は投資信託販売と並ぶ手数料収入の柱になりつつある。三菱UFJ信託は解禁当初から79の全販売拠点で医療保険と終身保険の取り扱いを開始。住友信託銀行も同様に61の全拠点で医療保険の販売を始める。保険商品を拡充することで、手数料収入の増加につなげる。

 信託銀行の顧客には富裕層が多く、長年の取引実績や信頼関係が金融商品の購入時に重視される場合が多い。保険窓販の全面解禁後も、両行は顧客のニーズを慎重に見極めながら、保険販売を進めていく方針だ。


銀行の保険販売とは?

 銀行窓口での保険販売は2001年以降、個人年金保険など貯蓄性商品から段階的に解禁された。今年12月の全面解禁に伴い、死亡保険や医療保険といった保障性商品も含む全保険商品が銀行で買えるようになる。銀行窓口で複数の会社の保険を比べられるため、利用者には便利になる。