2007年11月28日水曜日

オイルマネーに“一喜一憂”

原油価格の高騰で膨張する中東のオイルマネーが27日の東京市場を大きく乱高下させた。午前中は米サブプライム(高金利型)住宅ローン問題の深刻化懸念から株安・円高・金利低下が進んだが、午後に入り、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ投資庁がサブプライム関連の巨額損失を出した米金融大手のシティグループに75億ドル(約8100億円)を出資するとの発表が伝わると、株高・円安・金利上昇へと一転した。

 前日の東京株式市場では、世界最大の外貨準備を持つ中国政府が日本株投資を本格化させるとの思惑で株価が急騰した。サブプライムショックで神経質な展開が続く金融市場は、存在感を増す巨額のニューマネーに“一喜一憂”している。

 東京株式市場の日経平均株価は午前中に前日終値比333円34銭安の1万4801円87銭まで急落。しかし、午後には一時177円34銭高の1万5312円55銭へと急騰。終値は87円64銭高の1万5222円85銭と小幅続伸だったが、安値と高値では、510円も動く乱高下を演じた。

 東京外国為替市場でも午前中に一時1ドル=107円台前半まで円高・ドル安が進んだ後、108円台まで下落。債券市場では、長期金利の指標となる新発10年債の利回り一時1・420%まで急低下。その後、1・5%台前半に急反発した。

 午後に入り、動きが一転したのは、オイルマネーが世界市場に流入し、サブプライムショックによる信用収縮が緩和されるとの安心感が広がったためだ。特に、株式市場では、26日にUAEのドバイ政府系投資会社がソニーに「大規模投資を行った」と発表しており、「欧米の外国人投資家に代わり、オイルマネーが割安な日本株投資を活発化し、買い手不在が解消される」(市場関係者)との期待感が広がっている。

 実際、オイルマネーの投資意欲は高まるばかりだ。8月にドバイ政府系の投資会社が「ユニクロ」との争奪戦の末、米高級百貨店のバーニーズ・ニューヨークを買収したほか、9月にはアブダビ政府系の投資会社が日本のコスモ石油の筆頭株主となった。

 みずほ総合研究所によると、中東産油国が投資に使えるオイルマネー(累積経常黒字額)は8840億ドル(95兆4720億円)に上るという。

 ただ、市場を翻弄(ほんろう)しているのもまたオイルマネーだ。サブプライムショックをきっかけにオイルマネーも株式市場から原油市場に逃げ込み、1バレル=100ドル目前に迫る高騰の一因となった。原油市場への流入額は日本円で10兆円に上るとの推計もあり、オイルマネーが原油をつり上げ、さらに膨張する“自作自演”を繰り広げている。

アジア新興国戦略 3メガ加速

3大邦銀グループがベトナムやインドなど中国以外のアジア新興国での事業戦略を強化している。三井住友銀行は27日、ベトナムの大手民間銀行、ベトナム輸出入銀行と資本・業務提携契約を締結。みずほコーポレート銀行(CB)は10月、シンガポールに顧客企業のアジア進出を支援する拠点を設置した。国内の資金需要が低迷する中、成長著しいアジア新興国市場でビジネスを拡大するのが狙い。

 三井住友銀は、来年3月末までに、ベトナム輸銀の第三者割当増資に応じ、250億円を出資。同行の発行済み株式の15%を保有し、筆頭株主となる。業務提携はリテール(個人向け金融)分野が中心で、消費者ローンやクレジットカード業務などで協力する。

 三井住友銀は9月にも、インドのインフラストラクチャー金融公社と社会資本整備の資金調達支援で提携した。奥頭取は「当行はアジアに軸足を置いた海外戦略を打ち出している。今回のベトナム輸銀との提携もその一環」と説明した。

 みずほCBは8月、マレーシアの最大手銀行、メイバンクと売掛債権の買い取り業務で提携した。日系進出企業の資金調達手段の多様化を支援する。

 さらに、みずほCBは10月に、顧客企業の海外進出に関する助言業務を強化するため、海外営業推進部を東京の本店に設置。同時に、シンガポールに、同部アジア室を設け、アジア全域にわたる情報収集・提供能力の向上に乗り出している。

 三菱東京UFJ銀行も昨年10月、マレーシアの総合金融グループ、CIMBと、投資銀行業務などで提携した。同行は今年4月、CIMBに450億円を出資し、関係を強化した。

 すでに昨年11月には、ベトナム最大の国営銀行、ベトコンバンクとの間で、今回のCIMBと同様の業務提携契約を締結。同月には、アコムとともに、インドネシアのヌサンタラ・パラヒャンガン銀行の大株主と、同行の発行済み株式の75・4%を買い取る契約を結んだ。

 3メガバンクがアジア新興国市場の開拓を急いでいるのは、中国に続く生産拠点として、日系企業が進出し、高い経済成長を続けているためだ。

 各行は公的資金を返済し、海外業務を新たな成長戦略の柱としているが、米国のサブプライム(高金利型)住宅ローンに関連した投融資などで大きな打撃も受けている。サブプライムローン問題による市場の混迷が広がる中、欧米での事業展開の見直しも迫られており、今後も対アジア新興国戦略は加速しそうだ。

2007年11月27日火曜日

生保の不払い、決算を直撃

日本生命保険など生命保険主要9社の2007年度上期(4~9月)業績が26日出そろった。各社とも保険金不払い問題の社内調査などに注力したことから、新契約年換算保険料が9社合算で前年同期比16.8%減の4109億円と大幅に落ち込んだ。一般企業の売上高に相当する保険料等収入も2.8%減の8兆4839億円となり、不払い問題が経営を直撃した格好となった。

 新規に獲得した保障額を示す新契約高では、日本生命が49.5%減と大幅に落ち込んだのを筆頭に8社で減収となった。不払いの社内調査に経営資源が割かれ、営業職員の新契約獲得活動に影響が出たほか、営業職員の評価体系も従来の新契約獲得から契約後のフォロー重視に切り替えたことが響いた。

 保険本業のもうけを示す基礎利益も4.2%減の1兆1313億円となった。企業業績の好調で保有株式の配当収入が伸びたものの、不払い問題による新契約業績の低迷などが足を引っ張った。

日経平均、後場で急速に切り返す

午後の東京株式市場では、アブダビ投資庁(ADIA)が米シティグループに資本参加することが明らかになりサブプライム問題への不安が和らいだことから先物にショートカバーが入り、前場に急落した日経平均は急速に切り返した。

 一時は1万5300円台まで上昇し、1日の上下値幅が500円を超える乱高下となった。27日の東京市場は午後に入り地合いが一変、ドル高/株高/債券安になった。日本時間の正午前に明らかになったアブダビ投資庁の米シティグループへの資本参加が材料視された。

 米金融大手シティグループには、サウジアラビアのアルワリード王子がかなり出資しているが、アブダビ投資庁(ADIA)に普通株に転換する出資証券75億ドル相当を売却することで合意したと発表したことでシティの信用力を上げる動きとして市場はいったん評価しているようだ。

 ただ出資額の75億ドルは決して大きい額ではない。現在の東京株式市場は、ニュースに驚いたショート筋の買い戻しで切り返してきているが、シティが一息つけるか、それとも不十分とみるか、本当の評価は今晩の米国株式市場にかかっている。

2007年11月26日月曜日

日経平均は続伸、中国政府系ファンドへの期待で一時400円超える上昇

東京株式市場では、日経平均が大幅続伸。終値で1万5000円台を回復し、上げ幅は一時400円を超えた。23日の米国株高を受けて銀行株を中心に買い戻しが先行。その後、一部で中国の政府系ファンドが日本株に投資すると伝えられたことをきっかけに期待感から先物への買いが強まり、日経平均を一段と押し上げた。

 東証1部騰落数は値上がり1282銘柄、値下がり354銘柄、変わらずは85銘柄。

横浜銀など4行2けた増

地方銀行・第二地銀大手10行・グループの2007年9月中間連結決算が出そろった。日銀による昨年7月のゼロ金利政策解除とその後の追加利上げで、貸出金の利回りが上昇。利ざや改善効果で、最終利益は横浜銀行、静岡銀行、札幌北洋ホールディングス、京都銀行が2けた増益となった。

 米国の低所得者向けサブプライム(高金利型)住宅ローン関連の損失は7行がゼロだった。サブプライム損失は、最も多い千葉銀行でも中間期で9億円にとどまり、業績への影響はほとんどなかった。ノンバンク関連の損失も軽微で、両損失により業績の下振れが相次いだ大手銀行6グループとは対照的な結果となった。最終減益は西日本シティ銀行だけだった。

 地銀でサブプライム関連の影響が少なかった背景には、住宅ローン、中堅・中小企業向け融資に力を入れたことや、「複雑な仕組み債には投資しない」(京都銀)など国債を中心とした保守的な運用姿勢がある。

 一方、業界筋の間では「これまで地銀は不良債権処理に追われ、ハイリスク商品に手を出す余裕がなかっただけ」との見方もある。

サブプライム関連商品、銀行保有額1兆3300億円

金融庁は、国内の銀行と信用金庫、信用組合が保有する米国の低所得者向けサブプライム(高金利型)住宅ローン関連の証券化商品が9月末時点で総額約1兆3300億円に上るという調査結果をまとめた。

 このうち、銀行が9月中間期決算で計上した評価損は約1100億円。また、中間期に計1200億円を売却などで処理した。

 ただ、サブプライム問題を契機にして、信用力の低下は証券化商品全般に波及。10月以降は格下げも相次ぎ、買い手不在の中で価格は下落傾向にある。証券化商品の売却は困難なため、来年3月期の本決算では、評価損が一段と膨らむ恐れがあり、金融庁は引き続き注視する方針だ。

 調査内容は大手銀行10グループと地方銀行110行、信金・信組455団体による9月中間期の報告を基としており、サブプライムローンを盛り込んだ証券化商品などの保有額のほか、ヘッジファンドを通じたサブプライム関連投資額などを含む。

 調査によると、大手行と傘下の証券子会社などの保有総額は約1兆2000億円で、このうち1000億円の評価損を計上した。

 また、地銀と第二地銀の保有額は1100億円で、このうち60億円を評価損として計上。信金と信組の保有額は200億円で、10億円の損失を計上している。

ノーザン・ロック、ヴァージン主導の企業連合を優先交渉相手に選定

リチャード・ブランソン氏率いる英ヴァージン・グループを中心とする企業連合が、経営の悪化している英中堅銀行ノーザン・ロックを救済する優先交渉相手に選定された。同連合は、イングランド銀行(中央銀行)に対して110億ポンド(226億ドル)を早期返済する計画だ。

 ノーザン・ロックによるとヴァージン主導の連合は、同行をめぐる危機が明らかになった9月半ば以降に積み上がった推定250億ポンドに上るイングランド銀行からの借り入れを完済する明確な道筋を提示している。

 同連合には買収ファンドのWLロス、投資グループのトスカファンド、香港に拠点を置く投資グループのファースト・イースタンが含まれている。

 同連合は、買収計画に基づき、直接または1株25ペンスでの株主割り当てを通じてノーザン・ロックに13億ポンドの新規資金を注入するという。

 ただノーザン・ロックは一方で、戦略見直しの一環として取締役会が引き続き他の選択肢を模索するとしている。

 優先交渉相手選定の発表を受けて26日のロンドン証券取引所のノーザン・ロック株は上昇し、日本時間午後6時50分現在、前営業日比36.20%高の1.161ポンドを付けている。荒い値動きとなる中、一時は57%急伸した。

2007年11月22日木曜日

サブプラ影響で利益半減

大手銀行6グループの2007年9月中間連結決算が21日出そろった。米国のサブプライム(高金利型)住宅ローン関連の損失が相次いで発生したことなどから全グループが大幅な最終減益となった。合計の最終利益は前年同期比45・3%減の9478億円で、中間期として過去最高だった前年同期に比べ半分の水準に落ち込んだ。消費者金融など各グループのノンバンクの業績不振も足を引っ張り、業績に急ブレーキがかかった。

 サブプライム関連の損失は、みずほフィナンシャルグループの700億円を筆頭に、6グループで合計1150億円に達した。6グループ以外にも新生銀行が190億円、あおぞら銀行も58億円の損失を計上した。

 ただ、本業のもうけを示す実質業務純益は比較的堅調に推移。利ざやの改善や投資信託などの販売手数料が伸びたことなどから、6グループ合計で前年同期比2・5%増の1兆6372億円となった。

メガ3行、成長足踏み…9月中間そろって減益

2007年9月中間連結決算で、そろって減益となった3メガバンク。米国のサブプライム(高金利型)住宅ローン問題でのつまずきが主因だが、収益力強化や利益還元など「待ったなし」の課題が山積だ。顧客の囲い込み競争も加速し、銀行を選別する視線も厳しさを増す。

2007年11月21日水曜日

住信SBIの預金残高1000億円突破

インターネット専業銀行の住信SBIネット銀行は20日、総預金残高が1000億円を突破したと発表した。9月24日に開業して以来、57日目での大台突破となる。開業キャンペーンにより他行よりも高い預金金利を設定、預金者を着実に増やした。

あおぞら銀と住友信託が包括的業務提携

住友信託銀行とあおぞら銀行は20日、包括的業務提携で基本合意したと発表した。提携は、1)不動産関連事業、2)信託・財産管理、3)資産運用の3分野が柱となる。

 両グループの代表で構成する「提携推進会議」を設置し、2008年3月末をめどに具体的な提携内容を詰める。両行は経営統合の可能性は否定している。 

 包括提携により、住友信託銀は得意とする不動産関連業務や信託業務の機能を、あおぞら銀の顧客に対して提供する。提携する不動産関連業務のうち、あおぞら銀が子会社のあおぞら債権回収を通じて展開している事業再生業務は専門性も高いため、住友信託銀の顧客に提供。個人や小規模事業者向けの不動産担保ローンの大手に成長している住友信託銀傘下のファーストクレジットは、あおぞら銀の顧客向けにサービスを新たに展開する。そのほか、住友信託銀は不動産仲介や不動産投資業務でも、あおぞら銀向けのサービスを提供する。 

 信託・財産管理業務では、あおぞら銀が住友信託銀の代理店となり、法人顧客向けに住友信託銀の証券代行や年金信託業務を仲介。資産運用関連では、互いの運用会社の商品やサービスを地域金融機関などに仲介する。 

 両行は、今回の提携は排他的なものではないと位置づけたが、今後も他の分野での提携を検討するとしている。

損保大手6社、サブプライム関連損失

大手損害保険6社は2007年9月中間決算で、米国のサブプライムローン(信用力の低い借り手向け住宅融資)関連の投資残高と損失を発表した。あいおい損害保険の関連投資が1000億円を超えたほかは、ミレアホールディングスはじめ各社の業績に与える影響は限定的だった。

 損害保険ジャパンは、サブプライム関連の資産運用残高はゼロだが、サブプライムを裏づけとしたCDO(債務担保証券)の元本償還保証業務で、引き受け残高が2400億円あるという。上期までに、この保険金の支払いはゼロだったが、下期以降、保険事故の支払いリスクを300億円と見込んでいる。

 ミレアホールディングスは、9月末のサブプライム関連のエクスポージャーが269億円と発表した。このうちRMBSが12億円、ヘッジファンドが15億円、CDOが80億円で、支払い保障保険が162億円。9月末で14億円の評価損を計上したが、下期以降にさらに損失が膨らむことは織り込んでいない。

 三井住友海上火災保険の9月末のエクスポージャーは、金融保証で11億円のほか、ヘッジファンドへの投資で3000万円。9月末で関連損失はでていない。

 日本興亜損害保険は、サブプライム関連投資は、CDO1件で残高が10億円。ニッセイ同和損害保険は、サブプライム関連の投資はゼロだとした。

三井住友FG最終益30%減

三井住友フィナンシャルグループ(FG)が19日発表した2007年9月中間連結決算によると、最終利益は前年同期比30%減の1705億円となった。米サブプライム(高金利型)住宅ローンに関連した損失を320億円計上したのに加え、7月に出資したクレジットカード大手のオーエムシー(OMC)カードの株価下落で440億円の減損処理を実施したことが響いた。

 サブプライムローン関連の損失は通期では870億円に上る見通し。国内金融機関の関連損失の判明分では、みずほフィナンシャルグループの約1700億円、野村ホールディングスの1460億円に続き、3番目の規模となる。北山禎介社長はこの日の会見で、通期の業績への影響について「(損失は)債券取引など市場部門の収益で吸収できる」と説明した。

2007年11月19日月曜日

大手銀、富裕層狙い郊外店舗拡充

りそな銀行は今月20日、TX沿線に同行として初めて有人店舗を新規開設する。TX沿線の宅地開発が進んだことで住宅ローン需要が取り込めるほか、地価の上昇で沿線住民の資産運用ニーズが高まると判断した。

 新設するのは「りそなパーソナルステーション流山おおたかの森」(千葉県流山市)。投資信託といった金融商品や住宅ローンの相談に特化した小型店舗となる。同行が相談業務中心のパーソナルステーションを出店するのは、17カ所目となる。

 みずほ銀行も今月19日、相談専門ブースなど設け、個人の相談業務に特化した店舗を2カ所に設ける。新設するのは溝ノ口支店(神奈川県川崎市)と祐天寺支店(東京都目黒区)。同様の個人向け相談を中心とした店舗を08年1月までに累計で120拠点設置する。

 また、米金融大手シティグループの日本法人、シティバンク銀行も7月以降、郊外の高級住宅地として知られる青葉台(横浜市青葉区)、浦和(さいたま市)、関西地区では芦屋(兵庫県芦屋市)など、5カ所の郊外型支店・出張所を新規に出店した。土曜日も営業し、個人顧客層の開拓と獲得につなげる。

 個人からの預かり資産が数千万円以上の富裕層を対象にした会員制店舗「プライベート・バンキング・オフィス」を展開しているのは三菱東京UFJ銀行だ。7月に10カ所目となる店舗を名古屋市に開設した。今後も店舗を増やしていく計画だ。

 郊外に銀行の相談型店舗の開設が相次いでいるのは、退職年齢を迎えた団塊の世代を中心に個人資産の運用ニーズが高まっていることが背景にある。法人向け貸し出しが伸び悩む中、投資型商品や住宅ローンなどの相談に特化した店舗を展開し、郊外に居住する個人の金融資産をキメ細かく取り込む戦略が、大手行にも欠かせなくなった。

 不良債権処理に追われて新規出店を手控えてきた大手銀行だが、富裕層の獲得に向けた新規出店がさらに加速しそうだ。

2007年11月18日日曜日

9月中間決算 りそなHD 最終益73・9%減

りそなホールディングス(HD)が16日発表した2007年9月中間連結決算によると、最終利益は前年同期比73・9%減の1202億円となった。前年同期は将来の利益計上を前提に、払いすぎた税金の戻りを見込んで計上する「繰り延べ税金資産」の計上制限が緩和され、大幅増益につながったが、今中間期はこうした特殊要因が抜け落ちたことなどから大幅減益となった。

 ただ、繰り延べ税金資産の影響を除いた前年同期の最終利益と比べても、今中間期の最終利益は36・3%減少した。03年に実質国有化されたりそなは早期の完全復活を目指しているが、なお道半ばといえそうだ。

 本業のもうけを示す実質業務純益(傘下銀行合算)は8・1%減の1650億円。投資信託の販売や不動産業務、企業年金の受託など本業は順調に推移したが、国内株の下落で発生した保有投資信託の含み損を一掃するために計上した150億円の損失が収益を押し下げた。

 米国のサブプライム(高金利型)住宅ローンに関連した資産担保証券などへの直接投資はゼロで難を逃れた。また、ノンバンク向け融資は慎重姿勢を維持しており、貸金業法の改正などによるノンバンク業界への逆風の影響も受けなかった。

2007年11月16日金曜日

来週の日経平均は波乱含み

来週の東京株式市場は、ひきつづき波乱含みとなりそうだ。22日は米国の感謝祭、23日は日本で勤労感謝の日と休日が続き、少ない営業日の中で、米株や為替の動向、またサブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題で損失拡大のニュースなどが出れば、それらに振られやすい地合いが続くとみられている。

来週の外為市場はドル弱含み続く

来週の外為市場でも、ドルの弱含みが続きそうだ。サブプライムモーゲージ(信用度の低い借り手向け住宅融資)問題をきっかけとする欧米大手金融機関の損失計上などの関連ニュースや、20日発表の10月米住宅着工件数などに強い関心が集まっている。

りそなHD、最終益73.9%減の1202億円

りそなホールディングス(HD)が16日発表した平成19年9月中間連結決算によると、最終利益は前年同期比73.9%減の1202億円だった。前年同期は繰り延べ税金資産の計上制限が緩和されて大幅増益につながったが、今中間期はこうした特殊要因が抜け落ちたことなどから、減益幅が拡大した。

 本業のもうけを示す実質業務純益(傘下銀行を合算)は8.1%減の1650億円。投資信託の販売や不動産業務、企業年金の受託など本業は順調に推移した。しかし、国内株の下落で発生した保有投資信託の含み損一掃のために計上した150億円の損失が、収益を押し下げた。

 経常利益も38.5%減の1275億円にとどまった。投信の含み損の処理損失200億円のほか、社員への業績連動型報酬の計上方法変更に伴う経費105億円の増加などが響いた。

 米国の低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題の影響では、サブプライムローンに関連した資産担保証券などへの直接の投資がなく、難を逃れた。

広がる慎重取引…サブプラショックでFX転機、倒産リスクも

預けた証拠金の数倍から数百倍の外貨取引ができる外国為替証拠金取引(FX)。少ない手元資金で多額の利益が狙えることから急拡大を続けてきたが、米国のサブプライム(高金利型)住宅ローンショックにより転機を迎えている。度重なる為替相場の乱高下で損失を被り、慎重な取引を行う個人投資家が急増。一方で、FX業者の倒産で投資家に被害が出るケースが相次ぎ、為替変動リスクに加え、新たに“倒産リスク”が浮上しており、金融庁も神経をとがらせている。


外為証拠金取引(FX) とは?

 証拠金の何倍もの外為売買ができるハイリスク・ハイリターン取引。2~20倍程度が一般的だが、700倍以上の取引を認める業者もある。100万円の証拠金を預け、10倍の1000万円で1ドル=100円の時に10万ドルを買った場合、110円まで円安が進むと、10万ドルは1100万円になり、100万円の為替差益が得られる。逆に90円の円高になると、100万円の損失が出る。投資家の破産を防ぐため、為替差損が証拠金の8割程度に達すると取引を停止し精算するか、証拠金を積み増しを求められる仕組みが設けられており、8月17日の急激な円高では、損切りを迫られる投資家が続出した。

イーバンク銀、大幅赤字

新規参入銀行のイーバンク銀行とジャパンネット銀行が15日、2007年9月中間決算を発表した。イーバンクは米国のサブプライム(高金利型)住宅ローン問題の影響で大幅赤字を余儀なくされたが、運用が好調だったジャパンネットは黒字転換を果たした。

 イーバンクの連結最終損益は52億円の赤字(前年同期は6億円の赤字)で、サブプライムローン関連の投資商品の損失が18億円に膨らんだ。また、ビザと提携して7月からサービスを始めたデビットカードの発行コストも収益を圧迫した。

 同社が保有するサブプライムローン関連の金融商品について、松尾泰一社長は「今後も必要に応じて減損を行う」方針を明らかにした。

 ジャパンネットは単体で最終損益が5億円の黒字(前年同期は5億円の赤字)だった。手数料収入が好調なうえ、サブプライムローン関連の投資がなく、運用環境の悪化の影響が少なかった。

投信純資産が過去最高、世界全体で24兆ドル突破!

世界の投資信託の純資産総額が6月末に24兆ドルの大台を突破し、過去最高を記録したことが15日、分かった。今年前半にかけ経済拡大が続く中で、先進国を中心に有利な投資を求める動きが活発化し、投信への資金流入が増えたとみられている。

 世界各国の投資信託協会が加盟する国際投資信託協会がまとめた6月末の純資産残高は、3月末に比べ6・7%増加し、24兆3200億ドル(約2700兆円)となった。4~6月の資金流入額も、1~3月の4170億ドル(約46兆2800億円)から4340億ドル(約48兆1700億円)に増加した。

 外国株式や債券などへの分散投資が容易に行える投資信託は、特定の株式に投資するよりもリスクが少ないことが特徴で国内でも投信への資金流入が続いている。

 大和ファンドコンサルティングの広瀬明徳ファンド調査部長は、世界的に投信が人気を集めている理由について「世界経済の拡大が続くなかで先進国の国民所得が増加。資産運用の意識が高まり、投信に流入する資金が増えているのではないか」と分析。長期投資を行う方法として今後も人気が続くとの見方を示した。

S&P500種、13%超上昇の可能性

ゴールドマン・サックスのチーフ投資ストラテジストであるアビー・コーエン氏は14日、S&P総合500種指数は来夏までに13%超上昇する可能性があるとの見通しを明らかにした。

 同氏は北京の清華大学で行われたフォーラムで、S&P総合500種指数は来夏までに1680に上昇する可能性があると指摘。現在の適正水準は1600であると述べた。同指数の13日終値は1481.05だった。

 コーエン氏はまた、アウトパフォームすることが予想されるセクターとして、ハイテク、エネルギー、一部金融サービスなどを挙げた。

 米経済については、リセッション(景気後退)を回避できる可能性が高いとし、成長率は短期的に2%程度まで低下する見通しだが、労働生産性や株主資本利益率(ROE)は欧州、日本を上回っていることから、長期的な見通しは良好だとの見方を示した。

2007年11月15日木曜日

「大きな影響なし」サブプラ問題 地銀協会長が見解

全国地方銀行協会の小川是会長(横浜銀行頭取)は14日の定例会見で、米国のサブプライム(高金利型)住宅ローン問題について、「大きな影響を受ける地銀があるとは思わない」との見方を示した。

 サブプライムローン問題に関連し、国内でも大手銀行や証券会社などで業績を下方修正する動きが広がっているが、小川会長は「日本の金融システムに深刻な影響を及ぼす問題ではない」と指摘。今のところ、地銀への影響も限定的との見通しを明らかにした。

 また、10月に発足したゆうちょ銀行がスルガ銀行と住宅ローンの提携で合意したことについて、小川会長は、10月の地銀協の例会でスルガ銀から報告を受けた際、「異論は出なかったが、一部の加盟行はほおを膨らませていた」と“暴露”。「長年地銀が築いてきた業務に(ゆうちょ銀が進出するのは)好ましくない」との持論を改めて展開した。

バークレイズ、13億ポンドの評価損

バークレイズは15日、投資銀行部門であるバークレイズ・キャピタルが、クレジット市場へのエクスポージャーにより、7―10月に13億ポンド(27億ドル)の評価損を計上したと発表した。

 バークレイズ・キャピタルは7―9月期に5億ポンドの評価損を計上したのに加え、10月にも8億ポンドを追加計上した。

評価損の金額は、多くの市場関係者の予測よりも少なかった。

 バークレイズ・キャピタルの1―10月の純利益および税引き前利益は、評価損計上後で19億ポンドとなり、前年同期を上回った。

バークレイズのジョン・バーレイ最高経営責任者は、声明の中で「きょう発表した詳細なディスクロージャーは、今年、特に市場が混乱した10月に力強く底堅いパフォーマンスを上げたことを示している」と述べた。

 バークレイズ・キャピタルは10月に計上した評価損について、格付け機関が債務担保証券(CDO)を幅広く格下げし、市場が急落したことを受けたもの、と説明している。

 バークレイズ株は先月、クレジット市場へのエクスポージャーに絡んで多額の損失を計上するとの懸念から15%急落していた。同社をめぐっては100億ドルの評価損を計上するとのうわさや、経営陣が辞任するとのうわさも流れたが、同社は先週、それを否定していた。