2007年11月28日水曜日

アジア新興国戦略 3メガ加速

3大邦銀グループがベトナムやインドなど中国以外のアジア新興国での事業戦略を強化している。三井住友銀行は27日、ベトナムの大手民間銀行、ベトナム輸出入銀行と資本・業務提携契約を締結。みずほコーポレート銀行(CB)は10月、シンガポールに顧客企業のアジア進出を支援する拠点を設置した。国内の資金需要が低迷する中、成長著しいアジア新興国市場でビジネスを拡大するのが狙い。

 三井住友銀は、来年3月末までに、ベトナム輸銀の第三者割当増資に応じ、250億円を出資。同行の発行済み株式の15%を保有し、筆頭株主となる。業務提携はリテール(個人向け金融)分野が中心で、消費者ローンやクレジットカード業務などで協力する。

 三井住友銀は9月にも、インドのインフラストラクチャー金融公社と社会資本整備の資金調達支援で提携した。奥頭取は「当行はアジアに軸足を置いた海外戦略を打ち出している。今回のベトナム輸銀との提携もその一環」と説明した。

 みずほCBは8月、マレーシアの最大手銀行、メイバンクと売掛債権の買い取り業務で提携した。日系進出企業の資金調達手段の多様化を支援する。

 さらに、みずほCBは10月に、顧客企業の海外進出に関する助言業務を強化するため、海外営業推進部を東京の本店に設置。同時に、シンガポールに、同部アジア室を設け、アジア全域にわたる情報収集・提供能力の向上に乗り出している。

 三菱東京UFJ銀行も昨年10月、マレーシアの総合金融グループ、CIMBと、投資銀行業務などで提携した。同行は今年4月、CIMBに450億円を出資し、関係を強化した。

 すでに昨年11月には、ベトナム最大の国営銀行、ベトコンバンクとの間で、今回のCIMBと同様の業務提携契約を締結。同月には、アコムとともに、インドネシアのヌサンタラ・パラヒャンガン銀行の大株主と、同行の発行済み株式の75・4%を買い取る契約を結んだ。

 3メガバンクがアジア新興国市場の開拓を急いでいるのは、中国に続く生産拠点として、日系企業が進出し、高い経済成長を続けているためだ。

 各行は公的資金を返済し、海外業務を新たな成長戦略の柱としているが、米国のサブプライム(高金利型)住宅ローンに関連した投融資などで大きな打撃も受けている。サブプライムローン問題による市場の混迷が広がる中、欧米での事業展開の見直しも迫られており、今後も対アジア新興国戦略は加速しそうだ。